フィギュアスケートの面白さ

村主章枝のフィギュアスケートここがわかればもっとオモシロイ！（ＰＨＰ研究所）

村主章枝さん
表現力豊かで「氷上のアクトレス」と称される日本最年長の現役女子フィギュアスケート選手。軽やかでスピード感溢れる滑りと、世界一と称される高速アップライトスピンも魅力。全日本選手権では3連覇を含む優勝5回、四大陸選手権優勝3回、ソルトレイクシティ五輪5位、トリノ五輪4位。陽進堂所属

http://www.youtube.com/watch?v=oPL9o1KyZfM&feature=related

　村主章枝さんは12月31日が誕生日で３０歳になりました。２００９年の全日本選手権大会後、ピークを過ぎて、辞めたらという意見もあったけれども、現役を続けています。心からスケートが好きなんだろうし、見た人を感動させる良い作品を残したいという気持ちに溢れています。やはり、試合に出て、演技すれば、「よかった」というあのお客さんの声にエネルギーをもらい励まされるんだ。

　フィギュアスケートの選手は、試合当日、調子が悪いときもあります。リンクに送り出すとき、「エンジョイ」とリラックスさせるタイプ、「これまでやったことを信じてやってください」と励ますタイプのコーチもいます。コーチもリングサイドで、不安な面もちで、見守っています。

　白いスケートリンクを自由に舞っているように見える選手も、試合でピークの演技をするために、綿密なスケジュールで自己管理して、集中力を高めながら競技生活を送っています。「負けない」「悔しい」「もっとやれる」とい負けん気が人一倍強く、努力しています。

　　村主章枝さん本は、一流の選手の目で、フィギュアスケートのスポーツについて、意外と知らない基礎知識、練習、試合、見えない舞台裏まで語っています。スケートできない人でも、”通”となったような気分にさせる本かもしれません。苦しい台所事情もあります。一人で貸し切る練習場代でも２４０～３６０万円、振付代２～３曲で２００～４５０万円、競技の衣装代６０～８０万円、練習の衣装・小物７２万・、コートとトレナーに１２０万、１６０万・・・と必要な経費を計算すると、少なくとも年間２０００万円（１９４５～２４３２万円）以上も予算を準備しないといけません。サポートしてくれるスポンサーがいないと、競技生活ができないそうです。一流選手でも、３回転半のトリプルアクセルは、アクセルは前向きで踏切り、後ろ向きで着地するので、普通のトリプルチャンプに比べ半回転多くなり、その分、難易度は上がるそうです。

　女子シングルでも、２分５０秒のショート、４分のフリーのプログラムに対して細かい規定があって、ジャンプ（アクセル、ルッツ、フリップ、ループ、サルコジ、ツーループ）、スピン（キャメル、シット、アップライト、レイバック、ドーナツ、ビールマン）、ステップの組み合わせを決めるそうです。審査員も、①スケーティング技術、②トランジション・つなぎのフットワーク、③演技と実行、④振付と構成、⑤音楽の解釈に分けて、それぞれの評価項目にしたがって判定するようです。

　フィギュアスケートの選手は、リンクの上でたったひとりで演技するためには、不安と孤独な面もあります。１年の練習計画、毎年平均７大会程度の試合予定が決まっていて、スケジュールを立てながら、コーチ、振付けの先生などのいろんな人との係わり、目標に向かって毎シーズンを過ごています。１年の半数以上は、海外に滞在するそうです。シンプルな目標で、モチベーションのアップを図るそうです。結果にこだわり過ぎると、思い通りに結果が出なかった場合には、めげてしまうので、ぱっと、気持ちを切り替えられる人がいい結果を出すそうです。シーズンが長いので、「最後まであきらめないで続けられることが必要になってきます」。

　ライバルがいたら、モチベーションもあがりますが、人は出会いで成長するそうです。長野オリンピックで銀だった、ミッシェル・クァン選手の振付師ローリーに、「私もああいう振付をしてほしい」とお願いして、表現力が増したそうです。振付師も、競技の上では大切なポイントです。ニコライ・モロゾフコーチはパッションがあって、｢試合に挑むために過程を楽しんで｣と指導されたそうです。日本の佐藤コーチからは、「スケートって奥が深くて面白んだ」ということを教わったそうです。

ミッシェル・クァン選手
http://www.youtube.com/watch?v=OHfgjszz_Tk
Michelle kwan 1998 Nationals SP- rachmaninoff