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一坪の奇跡:和菓子つくり


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                和菓子は、芸術作品

 東京都武蔵野市吉祥寺本町で吉祥寺駅より徒歩2分に、ダイヤ街に最中と、羊羹をつくる「小さざ」があります。店の代表、稲垣篤子(78)さんは、実父から厳しい薫陶を受けて、全身全霊をこめて、父の創造した小ざさの味を造り続けています。実父、伊神照男が生涯をかけて創造した小ざさの羊羹と最中は、彼の芸術品で、そのもの造りは、日本人として後世に残したいものです。

 一坪の店で、羊羹と最中で年商3億円をあげる和菓子店です。羊羹は、一日150本限定販売で、日本中からお客さんが商品を求めてやってきたり、行列ができるそうです。もなか、ようかんなどの和菓子をつくる名工が少なくなっています。稲垣社長さんは、店を大きくしますと、目が行き届かなくなりますね。昔の人はよく「身の丈の仕事」と言っていましたが、商売を大きくして大雑把になるよりも、いまやっている自分の仕事をきっちりと、ということでございます。

 羊羹の材料は小豆(あずき)、砂糖、寒天です。
 (1)こし餡のもとのなる「呉」を作ります。
 水洗いをして一晩置いた小豆を、最大3升まで小さな羽釜で均一に火をかけるそうです。茹で上がった、今度は「製餡機」にかけます。皮を取り除いた豆を潰しつつ水にさらし、溶け出した中身の方だけを、麻袋ごと加圧機にかけ、水分を、搾り出します。
 (2)前日から水に浸けておいた寒天を火にかけ、じっくりと煮込みます。鍋全体が白濁してきたところで、純度の高い砂糖をたっぷりと入れ、ある程度、煮詰まるまで、かき混ぜます。
 (3)銅鍋に移しかえて、炭も、火力の、より強いものに換えます。先ほどの「呉」を加え、ひたすら練り上げます。「 焦げる寸前で焦がさない。」ために、鍋底に触れないようにヘラを動かすそうです。照りを出すための水あめを入れてでいるそうです。3時間半で一つ釜分50本で、手作業ゆえに、それを3回おこなうと、1日、150本作るのが精一杯だそうです。

 小豆も生きもので、気温、室温、炭の状態も日々変わるそうです。小豆の品質、煮え方、材料の配分、火加減、練り方のすべての条件をうまくすると、炭火にかけた鍋底で練っている餡がむらさき色に輝くそうです。ヘラを通じて感じる指先への感触、小豆の風味やほんのわずかな焦げをかぎわける臭覚を駆使しながら、耳では炭の火加減を聞き分けるそうです。

 稲垣篤子さんによれば、「和生菓子を創る上の、究極の奥義は、原料本来の特色を生かし、砂糖の甘味をならす、丸い味とすることだそうです。最中としての、味の品位もそこから生まれるように思います。」

  砂糖の粒の大きさも上品な味に関係しているそうです。 炊いた豆には、密漬けをするそうです。大きな釜に炊いた豆を入れて、そこに砂糖を入れて溶かし、それを何度も繰り返すと、豆と密がムラなく溶け合わさった状態になります。これを1、2日おくそうです。大粒の砂糖を使って密漬けした小豆と水飴を「呉」と一緒に鍋で煮詰めると、最中の餡ができるそうです。豆を煮る人、密漬けする人、呉をつくる人、制餡をする人の呼吸が合うようにしているそうです。
 
 餡をみずみずしい状態で食べてもらえるように、最中の皮が餡を保湿してくれるそうです。最中の皮は、もち米をついて薄く焼いたもので、種とよび、東京の職人さんに作ってもらっているそうで、あんこと皮をつくる職人さんとは、運命共同体だそうです
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